家のことを手伝ってくれるサービスを探すとき、「家事代行サービス」と「家政婦さん」という2つの言葉を目にすることがあります。
「呼び方が違うだけで、やることは同じじゃないの?」
そう思われる方も多いでしょう。確かに、掃除や料理といった作業内容はほとんど同じです。しかし、実は**「誰と契約するか」「トラブルが起きた時に誰が責任を取るか」**という点で、この2つは決定的に異なります。
今回は、意外と知られていない「家事代行」と「家政婦」の仕組みの違いについて解説します。
まず共通点から見ていきましょう。 家事代行サービスも家政婦さんも、依頼主の代わりに家事全般を行うという点では変わりません。
部屋の掃除、片付け
洗濯、アイロンがけ
料理、買い物
もちろん、スタッフ個人のスキルや資格によって対応範囲は異なりますが、大きな括りで見れば**「日常の家事をサポートする」という仕事内容に差異はない**と言えます。
両者の決定的な違いは、雇用の仕組みにあります。
一般的に家政婦さんは、以下のどちらかのパターンで働いています。
個人事業主として、直接仕事を請け負う
家政婦紹介所から紹介を受けて、仕事を請け負う
ここで重要なのは、たとえ紹介所を通していたとしても、紹介所の役割はあくまで「人材の斡旋(あっせん)」であるという点です。 つまり、依頼主である皆さんは、「家政婦さん個人」と直接雇用契約を結ぶことになります。
一方、家事代行サービスの場合、スタッフは代行業者(会社)に雇用されています。 依頼主である皆さんは、スタッフ個人ではなく、「家事代行業者(会社)」と利用契約を結ぶことになります。
この「契約相手の違い」は、万が一のトラブルが起きた時に大きな意味を持ちます。
契約相手は「家政婦さん個人」です。 そのため、もし作業中に物を壊してしまった等のトラブルが発生した場合、責任は家政婦さん個人が負うことになります。 基本的には当事者同士(依頼主と家政婦さん)での話し合いによる解決が求められ、場合によってはトラブルが複雑化するリスクもゼロではありません。
契約相手は「会社」です。 そのため、トラブルが発生した場合の責任は「家事代行業者」が負います。 多くの業者は損害賠償保険に加入しており、物損事故などがあった際も会社が組織として対応・補償を行ってくれるため、依頼主がスタッフ個人と直接交渉する必要はありません。
家政婦: 個人と契約。馴染みの人に長く頼める良さはあるが、責任は個人に帰属する。
家事代行: 会社と契約。スタッフの交代もスムーズで、万が一の保証や対応は会社が行う。
「トラブルがあった場合の責任の所在」こそが、両者の最大の違いです。 サービスを選ぶ際は、料金や作業内容だけでなく、こうした「安心の仕組み」についても目を向けてみてはいかがでしょうか。